鑑定士と顔のない依頼人
2014年 04月 30日
*見る予定の方はスルーしてください。
原題は 「The best Offer」
オークションでは「最高入札額」という意味らしい。
何となく実感の湧かないタイトルではある。
でも、こんなミステリ仕立ての邦題はどうなんだろう。
ただでさえネタバレ禁止、結末は言わないように、と巷で言われているのに
ミスリードしているようなものだと思うのだが・・・
ちなみに私自身、若干ミスリードされたクチ。
もっとも、ネタばらしではなくても
オチは言わないで、とか、結末は賛否両論です、などと言われた時点で
「どんでん返しがある」ことくらいはわかるというものだ。
そんなわけで、ある程度斜に構えて見てしまったけれど
これを、愛のない映画だと思ったのはそのせいでは決してない。
心がない。
腕に覚えのある監督が、そのテクニックと美意識を発揮して
さらにミステリのスパイスととラブストーリー風味を利かせて
技巧を凝らして作り上げた逸品・・・
なのだろうが
私には、まるでどんでん返しのためだけのストーリーとしか思えない。
芸術作品に、本物と見まごうばかりの贋作があるように
人間の感情も、本物そっくりに偽れるものなのだ。
喜びも憎しみも悲しみも、愛情さえも、"贋作"たり得る・・・
そんな台詞が随所に見受けられたけど、それで納得しろと?
そういえば、映画の中で重要なモチーフとして機械人形(オートマタ)が出てきたけれど
この映画こそ、機械仕掛けの精巧な作り物といえるかもしれない。
いや、もしかしたら醜悪な映画が作りたかったのか?
見かけは美しい美術品や(嫌味なほどに)洗練された紳士の振る舞いで
画面を満たしながら、その実、振り込め詐欺に騙された老人を見ているような
うすら寒くなる映画を作りたかったのか。
ちょうど、映画の中で徐々に組み立てられていくオートマタが
“姿を見せない女のような美女”の形になっていくのではないかと
こちらに想像させるように仕向けておいて
最後に出来上がりで現れた姿が、つぎはぎの醜い化け物にしか見えなかったように?
いずれにしても、胸に残るこの後味の悪さよ。
この監督の「海の上のピアニスト」は好きだったんだけどな。
原題は 「The best Offer」
オークションでは「最高入札額」という意味らしい。
何となく実感の湧かないタイトルではある。
でも、こんなミステリ仕立ての邦題はどうなんだろう。
ただでさえネタバレ禁止、結末は言わないように、と巷で言われているのに
ミスリードしているようなものだと思うのだが・・・
ちなみに私自身、若干ミスリードされたクチ。
もっとも、ネタばらしではなくても
オチは言わないで、とか、結末は賛否両論です、などと言われた時点で
「どんでん返しがある」ことくらいはわかるというものだ。
そんなわけで、ある程度斜に構えて見てしまったけれど
これを、愛のない映画だと思ったのはそのせいでは決してない。
心がない。
腕に覚えのある監督が、そのテクニックと美意識を発揮して
さらにミステリのスパイスととラブストーリー風味を利かせて
技巧を凝らして作り上げた逸品・・・
なのだろうが
私には、まるでどんでん返しのためだけのストーリーとしか思えない。
芸術作品に、本物と見まごうばかりの贋作があるように
人間の感情も、本物そっくりに偽れるものなのだ。
喜びも憎しみも悲しみも、愛情さえも、"贋作"たり得る・・・
そんな台詞が随所に見受けられたけど、それで納得しろと?
そういえば、映画の中で重要なモチーフとして機械人形(オートマタ)が出てきたけれど
この映画こそ、機械仕掛けの精巧な作り物といえるかもしれない。
いや、もしかしたら醜悪な映画が作りたかったのか?
見かけは美しい美術品や(嫌味なほどに)洗練された紳士の振る舞いで
画面を満たしながら、その実、振り込め詐欺に騙された老人を見ているような
うすら寒くなる映画を作りたかったのか。
ちょうど、映画の中で徐々に組み立てられていくオートマタが
“姿を見せない女のような美女”の形になっていくのではないかと
こちらに想像させるように仕向けておいて
最後に出来上がりで現れた姿が、つぎはぎの醜い化け物にしか見えなかったように?
いずれにしても、胸に残るこの後味の悪さよ。
この監督の「海の上のピアニスト」は好きだったんだけどな。
by quilitan
| 2014-04-30 17:40
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