人気ブログランキング | 話題のタグを見る

オーバー・ザ・ブルースカイ

川越スカラ座にて。

予告で流れていた音楽(歌)がとても心地よかったのだ。
カントリーなんだけど、女性の声がとても耳に懐かしくて私の好みだった。
ベルギー・オランダの合作で、あまり馴染みのない文化圏の作品だけど
けっこういろいろな賞を獲っているようだし、ぱっと見の評価もかなりいい感じ。
期待して見に行きました。

行きましたがねえ・・・・


楽団のバンジョー弾きの男と、タトゥーだらけの女の物語だと思っていたので
最愛の、かけがえのないものだった娘の死が軸になっているのは意外だった。

子供が亡くなる件りでは思わず脊髄反射でちょっと泣けたけど
何だろう・・・この感情のちぐはぐさ。
見せる手法として、現在と過去を入れ子式にしているんだけど
その順序とかタイミングなんかがきっと私の波長と合わないんだろうな。

確かに子供はとても可愛かった。愛情を一身に受けている可愛らしさがあった。
でも物語の中心だったかといえばそうでもないし
ふたりの人生を変える何かであったという描き方もされてなかった。
どのエピソードも同じ比重に思えたし、
だから子供の死をきっかけに湧き出す感情の唐突なこと。
女が喪失感で自暴自棄になるのはわかりやすい。
でも、男がいきなりブッシュのキリスト教原理主義批判に奔った時はビックリした。
そりゃ私だって進化論より神と言い放つを愚の骨頂だとは思いますが
男のいう、何でもかんでも唯物論みたいなのも受け入れがたい。
女のいうように、死んだ人がお星様になる、と信じるのはその人の勝手だ。
それを嘘だといって否定する権利は誰にもない。
あげく、ショーの最中に何で演説しちゃうの・・・・そういうメッセージ映画なの?
その時点で私は男にイラッと来てしまい
なんだこの映画・・・・になっちゃったんだよなあ。

で、結局女は子供の死を乗り越えようにも
感情をないがしろにするようなことしか言わない男とは相容れないと悟って
自ら死を選ぶんだ。
最後に、女がタトゥーで彫り込んだふたりの名前は現世のものではなく
「生まれ変わった名前」。

そして死の間際に、女の魂(男が決して信じないであろうもの)が体から抜け出して
医師から宣告を受ける男の傍にたたずむのだ。
(・・・わたしならそのまま女を男のそばを通り過ぎるままにするだろう。)

死出の旅に出た女に男がいう。
      「娘によろしく伝えてくれ」
信じていないはずの「あちらの世界」を自ら認めたわけだ。

思わず、「ハイ、あんたの負け!」と心で呟いてしまった私。
でもそういう映画じゃないよねえ、これ。

いろいろな意味でことごとく予想外の映画でした。


音楽は良かったな〜。サントラ買おうか迷ったんだけど買わずにしまった。
ちょっとジョーン・バエズを彷彿とさせる
女の声がやっぱり好きだわ。
by quilitan | 2014-04-21 21:31 | 見る | Trackback | Comments(0)

猫と雑文ときどきお絵描き  


by quilitan
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31