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浅田真央が勝ちとったもの ー 世界選手権2014

今回のSPからフリーにかけて、浅田真央がいたのは「競技」というステージから
一歩先んじたところだったに違いない。
それほどにその演技は満ち足りていた。
SPの「ノクターン」は、個人的にはそれほど惹かれるプログラムではなかったんだけど
今回はまさに別ものだった。
表情、身体の動き一つ一つが今までとは違う次元で丁寧で優しくて慈愛に満ちている。
3アクセルも、あまりに普通に降りたので一瞬ほんとうに跳んだのかと
思ってしまうくらいだった。
どの動きも流れるように演じられて、何と美しかったことか。

フリーは、1カ所ジャンプにミスが出てしまったので
残念ながらソチ五輪のときのような「完璧さ」はなかったけれど
でもSPからのスケートの境地はもう揺るぎない。
浅田真央は美しさを手に入れたのだ。

本当に何という力のある選手であることか。

ソチのフリーで間違いなく神が降りてきたんだな。
浅田真央がずっと積み上げてきた練習という高い台座の上にいる神が。

フィギュアスケートは芸術なんだとしみじみ思った。




現時点で、本人はまだハッキリと進退を明言しているわけではない。
でも、ソチ五輪のフリーからこの選手権へと続いて
浅田真央が自分の納得する演技をして、しかも優勝したことで
彼女はようやく自由を手に入れたのではないか。

アスリートとして敬意を持った扱いをしてくれず
持ち上げては突き落として翻弄してきたマスコミにも
これまではなるべく相手の目的に沿うような答えをしてきたのが
今日は一切妥協なく、彼女の意志というものを
非常に強く感じさせる受け答えだったのも気持ちよかった。

あれだけ自分に厳しく、いつも課題を突き詰めていく姿勢だった浅田真央が
試合後のインタビューで、“自分に何点付けたいですか?”という
相変わらず奥行きのない質問に
迷わず「100点」と答えたのには心中快哉を叫びましたね。

これが決意の表れでなくてなんでしょう。

誰に憚ることなく、堂々と競技から去っていけることを私は祝福したい。
アイスショーでもっと美しいスケートを披露してくれた方がずっといい。


競技でなければくだらない実況解説も聞かずにすむしね・・・・
by quilitan | 2014-03-30 01:16 | 見る | Trackback | Comments(0)

猫と雑文ときどきお絵描き  


by quilitan
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