「北のカナリアたち」

公開したてで観たい映画が3本ほどあって
レディースデー、どれにしようかと悩んだ。
何となく、これが一番早く切り上がりそうな気がしてしまって
最初に選んだんだけど
見終わって、予感はあまり外れていない気がする。


原案(原作?)は「告白」の湊かなえ、
主演の吉永小百合に若手実力派の俳優をずらりと揃え、
撮影は名カメラマンの木村大作だし
監督は阪本順治ときて
これ以上の布陣はないはずだ。
はずなのだが・・・・

これは、湊かなえの描く世界と
阪本順治が表現しようとする世界が
あまりしっくり混ざっていないせいか。
混ざらなくても、その違和感が味になることもあるんだろうが
これは違和感とも言い難い。
それなりにできあがっているだけに、尚更もったいない気がする。


湊かなえの作品は「計算」だと思うんです。
まず物語の展開図があって
それに辻褄を合わせたキャラクターとエピソードを
きっちりと嵌め込んでいく。
時間軸通りに物語を進めないで入れ子細工のようにするのも
その計算の出来栄えを確認する作業のようなものに思える。
先日読んだ「白ゆき姫殺人事件」も
内容より形式が主題といってもいいようなものだった。
技巧先行型、とでもいう感じでしょうか。

「告白」も観たけれど
あれはその技巧が監督のタイプとぴったり合っていたと思うんだよね。
中島哲也は「映像」という技巧で表現するタイプだから。

今回の軸となるべき「事件」は
登場人物たちの葛藤から発生するものなので
人間が描けてないと事件の重みが全くなくなってしまうのだ。
でも、それぞれの登場人物の内なるものが
殆どこちらに伝わってこなかった。
時折、役者たちの力量か監督の意地か、そういう計算を越えて
心揺さぶられる感覚もあったんだけど
やはり「このキャラの役割はこれ」という枠にはめられてしまっていたな。

阪本監督は、「亡国のイージス」、「闇の子供たち」、
「大鹿村騒動記」しか観ていないけど
役者が自分で持っているとは気付かなかったものも
上手く引き出せる監督だと思う。
それを考えると、今回のとりとめのなさは惜しいです。


さあ、次は「のぼうの城」かな。
「黄金を抱いて翔べ」は読み終わってからだ。
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by quilitan | 2012-11-08 01:17 | 見る | Trackback | Comments(0)

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