若冲戦線異状あり
2016年 05月 23日
テレビで宣伝しまくりの挙げ句、大行列が話題となってしまった「若冲展」、
頂いたチケットを無駄にしてなるものかと、会期終了間際の本日行ってきました。
2度行ったマイミクさんの様子を参考にして
7時上野着を目指して5時起き。
(ま、コミケの時もこんなもんです)
予定通り上野に到着すると、都美術館方面に小走りに行く人が散見され
そして美術館前には既に行列がとぐろを巻いている。
いずれにしても開館するまでは動かないので、この待ち時間はもう仕方ないと思って待っていた。
(まま、コミケの列より可愛いもんです)
その内、まだ8時半になるかならずかの時に列が動き出す。
おお、これが美術館側もやけっぱち(かどうかは知らないが)の繰り上げ開場か。
そうよねえ、7時で既にあれだけ人が溜まっていて傍観してはいられないよねえ。
さんざん宣伝した責任もあるしねーえ。
隣に並んでいた人は名古屋から夜行で来たと言ってたもの。
日傘の貸し出しと給水テントという、美術館に来ているとは思えない光景もあり
何となくするすると列は動き、9時ちょっと過ぎには美術館内へ(正規の開門は9時半)、
そして9時半前には展示場に入室となりました。
夕方の方が待ち時間が少ないという情報もあったが、後に予定もつかえていたし
やはり早朝チャレンジが正解だったかもしれない。
そしていよいよ展示室。
うーん、絵の前は満員電車状態・・・
場内係の方々がヒステリックにならないように精一杯気を配って、でもひっきりなしに繰り返す。
「最前列の方は止まらず歩いてください」
「後ろにもご覧になる方が沢山いらっしゃいます」
「押さずにお互い思いやってご観覧ください」
「押されたふりして押さないでください!」
・・・・え え え??
思わず場内から笑いが起こる。係のお姉さん、良いセンスです!
さて、今回の展示の目玉は何といっても「動植綵絵」三十幅。
それ以外の作品も勿論素晴らしいが、やはりそこに人は集中する。
確かに圧巻でした。
しかも宮内庁の美術庫で保管されてあまり外に出されることがないせいか
とにかく色彩がまったく劣化していない。
あの色彩の鮮やかさが他の作品と一番違うところだ。
その劣化していない色彩を持つ、金色や赤や緑の動植物は恐ろしいくらい眼に迫ってくる。
あれは生で見るべきなのだ。
何度もテレビで特集された「老松白鳳図」の前は人が動かず山のようだったけれど
私はそれよりも「南天雄鶏図」と「秋塘群雀図」の方に惹かれた。
特に「南天雄鶏図」はホントにカッコイイ!たまらなくカッコイイ!!
でもその二つは個別のグッズになっていなかった・・・ちぇ〜残念。
展覧会に先立って、白凰の金色をいかにして出したかということを細かく分析した番組を見た。
それはとても興味深かったし、現物の絵を見てふむふむ・・・なんて最初は思っていたのだが
いや、絵を生で観るってそういうことじゃないな、と途中で思った。
若冲の感性が求めた質感、色、それをどうしたら描き出せるかを考え続け、その結果の技術なので
最初に技法を念頭に置いて見るなんてもったいない。
特にあれほど鮮やかな色彩を保っている作品なら尚のこと。
「南天雄鶏図」は、南天の実と雄々しい鶏のトサカの赤と南天の葉の緑、鶏の毛色の黒、と
非常に大雑把に言うとそういう色分けなのだが(分析番組ではその赤の微妙な違いも説明していた)
上の方に黄色い小さな鳥が一羽いる。
そこに黄色か〜!と思わず唸る。
「群雀図」でも、群れて飛ぶ茶色い雀の中に一羽白雀がいる。
さらに画面の下ではお腹見せたり尻尾だったりと動きの速度が変わって
群なのにまるで一つの塊がコマ送りで上から下へと着地するような感覚になる。
この色がどう、とか、こういう描き方がとか、それだけじゃなくて全体を見てこちらもそのまんま受け止めるというのが生の絵を見る醍醐味だと思うんだな。
今回の「動植綵絵」ではその醍醐味をしっかり味わった。
ただ私は若冲の「線」が好きなので、墨絵がもっとあったら良かったなあ。
それにしても、鶏の正面顔とかお腹見せてのあおりとか、妙な構図をよく描くものだと思ったが
きっと描いても描いても「飽き足らない」ことがありすぎたのだろう。
変わったポーズや構図も、点描画法をやってみたりモザイク仕立てにしてみたりという奇抜な発想も
いつも何か「もっと」を求めていたのかもしれないなあ。
それがやはり〈天才〉というものなんだとあらためて思う。
9時半頃から見始めて11時頃美術館を出ると
炎天下のこの待ち時間は・・・無理。
頂いたチケットを無駄にしてなるものかと、会期終了間際の本日行ってきました。
2度行ったマイミクさんの様子を参考にして
7時上野着を目指して5時起き。
(ま、コミケの時もこんなもんです)
予定通り上野に到着すると、都美術館方面に小走りに行く人が散見され
そして美術館前には既に行列がとぐろを巻いている。
いずれにしても開館するまでは動かないので、この待ち時間はもう仕方ないと思って待っていた。
(まま、コミケの列より可愛いもんです)
その内、まだ8時半になるかならずかの時に列が動き出す。
おお、これが美術館側もやけっぱち(かどうかは知らないが)の繰り上げ開場か。
そうよねえ、7時で既にあれだけ人が溜まっていて傍観してはいられないよねえ。
さんざん宣伝した責任もあるしねーえ。
隣に並んでいた人は名古屋から夜行で来たと言ってたもの。
日傘の貸し出しと給水テントという、美術館に来ているとは思えない光景もあり
何となくするすると列は動き、9時ちょっと過ぎには美術館内へ(正規の開門は9時半)、
そして9時半前には展示場に入室となりました。
夕方の方が待ち時間が少ないという情報もあったが、後に予定もつかえていたし
やはり早朝チャレンジが正解だったかもしれない。
そしていよいよ展示室。
うーん、絵の前は満員電車状態・・・
場内係の方々がヒステリックにならないように精一杯気を配って、でもひっきりなしに繰り返す。
「最前列の方は止まらず歩いてください」
「後ろにもご覧になる方が沢山いらっしゃいます」
「押さずにお互い思いやってご観覧ください」
「押されたふりして押さないでください!」
・・・・え え え??
思わず場内から笑いが起こる。係のお姉さん、良いセンスです!
さて、今回の展示の目玉は何といっても「動植綵絵」三十幅。
それ以外の作品も勿論素晴らしいが、やはりそこに人は集中する。
確かに圧巻でした。
しかも宮内庁の美術庫で保管されてあまり外に出されることがないせいか
とにかく色彩がまったく劣化していない。
あの色彩の鮮やかさが他の作品と一番違うところだ。
その劣化していない色彩を持つ、金色や赤や緑の動植物は恐ろしいくらい眼に迫ってくる。
あれは生で見るべきなのだ。
何度もテレビで特集された「老松白鳳図」の前は人が動かず山のようだったけれど
私はそれよりも「南天雄鶏図」と「秋塘群雀図」の方に惹かれた。
特に「南天雄鶏図」はホントにカッコイイ!たまらなくカッコイイ!!
でもその二つは個別のグッズになっていなかった・・・ちぇ〜残念。
展覧会に先立って、白凰の金色をいかにして出したかということを細かく分析した番組を見た。
それはとても興味深かったし、現物の絵を見てふむふむ・・・なんて最初は思っていたのだが
いや、絵を生で観るってそういうことじゃないな、と途中で思った。
若冲の感性が求めた質感、色、それをどうしたら描き出せるかを考え続け、その結果の技術なので
最初に技法を念頭に置いて見るなんてもったいない。
特にあれほど鮮やかな色彩を保っている作品なら尚のこと。
「南天雄鶏図」は、南天の実と雄々しい鶏のトサカの赤と南天の葉の緑、鶏の毛色の黒、と
非常に大雑把に言うとそういう色分けなのだが(分析番組ではその赤の微妙な違いも説明していた)
上の方に黄色い小さな鳥が一羽いる。
そこに黄色か〜!と思わず唸る。
「群雀図」でも、群れて飛ぶ茶色い雀の中に一羽白雀がいる。
さらに画面の下ではお腹見せたり尻尾だったりと動きの速度が変わって
群なのにまるで一つの塊がコマ送りで上から下へと着地するような感覚になる。
この色がどう、とか、こういう描き方がとか、それだけじゃなくて全体を見てこちらもそのまんま受け止めるというのが生の絵を見る醍醐味だと思うんだな。
今回の「動植綵絵」ではその醍醐味をしっかり味わった。
ただ私は若冲の「線」が好きなので、墨絵がもっとあったら良かったなあ。
それにしても、鶏の正面顔とかお腹見せてのあおりとか、妙な構図をよく描くものだと思ったが
きっと描いても描いても「飽き足らない」ことがありすぎたのだろう。
変わったポーズや構図も、点描画法をやってみたりモザイク仕立てにしてみたりという奇抜な発想も
いつも何か「もっと」を求めていたのかもしれないなあ。
それがやはり〈天才〉というものなんだとあらためて思う。
9時半頃から見始めて11時頃美術館を出ると
炎天下のこの待ち時間は・・・無理。
by quilitan
| 2016-05-23 22:10
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