人気ブログランキング | 話題のタグを見る

5月に

自分の誕生月でもあるので、5月はとても好きな季節。

でももう1年の半分近くまで来ちゃったと思うと「美しい季節」だけで喜べないオトナの気持ち・・・


5月始まりの昨日は、あちこちめまぐるしく歩き回った。

まず、お友だちのカメラマン・ハコちゃんこと細川葉子さんの初個展「hakoen」にお邪魔する。
幡ヶ谷の住宅街にあるギャラリーは緑に囲まれたお洒落なスペースで
小さな仕切りの中にあらゆる世界が自由に存在する箱庭をモチーフとした展覧会にはピッタリ。
写真もピントや色がきっちり鮮やかに収まっていないことで如何様にも受け止められるのがいい。

お隣のカフェも、外のベンチでお茶がよく似合う。
カフェラテは濃くて甘くて美味しかった。


そこから次は吉祥寺美術館の「萩尾望都SF原画展」へ移動。
数ある萩尾先生の作品のうちSF枠だけに限った展覧会ではあるが
カラーも活版も原画の量はたっぷりで見応えありあり。
それで入場料100円・・・イマドキ100円!!!ほんとにその値段でいいのか!?

本当に美しい原画だった。
そして、一度にこうしてまとめて見てみると
萩尾先生の絵・・・というかイメージは「縛るもの」から外へ外へと流れ出すものなのだと
改めて思った。
空気の流れを可視化するカメラがあるけれど、あれなんだな。

だから“SFではない”とされる作品でも、外への自由な広がりという視点から見れば
全てSFといってもいいと思う。

それにしてもあんな風に自在に自分のイメージが操れるものなのか・・・
何であんなイメージが出てくるのか。
私は「天才」という言葉を軽々しく使う気にはなれないが、萩尾先生にはそれしか言えない。
私が思う「天才」は、天賦の才というだけではなく自分だけに忠実になる力をもつひと。
一番わかりやすいのはピカソかな。
最終的に「自分」なので、ある部分では社会不適格なところも出るだろう。
それでも、それを補ってなおあまりあるものを放出する本物の天才の前にはもうひれ伏すしかないです。


6日に展示入れ替えがあるとチラシに書いてあったので、もう一回行こうかな。
・・・100円だし(今度こそカメラ持っていこう)


それにしても最近萩尾先生の露出度が目に見えて多く、何かあるのかと思ったら
40年ぶりに「ポーの一族」の新作が出るというではないの!
しっかり楔を打たれて残っている作品だし何度も読み返してもいるので、40年ぶりというその数字に
ちょっと衝撃を感じているのでありますよ・・・

そんなこんなで少々話題のフラワーズを買って、久しぶりに読む作家に色々感慨を持っていたところに
吉野朔実さんの訃報。
最近、ミュージシャンもやたらとあちらに運ばれていっている。
正直なところ、それほど興味を持っていたわけではないけれど
当時自分の読んでいた雑誌には吉野さんが載っていたし、聴いたり見たりしていたテレビやラジオでは好きも嫌いもなく彼らの音楽が入ってきていた。
つまりは当たり前にあったこと。日常の一部だった。
それが一つ二つ、櫛の歯が欠けるように消えていく。
そういう世代になりつつあるのか、と寂しい気持ちになってしまった。



そういえばイケセイ催事場では“懐かしの昭和”のようなイベントをやっていた。
子供の頃、普通に生活のなかにあったものが特別な存在として見られているのか。
でもせっかくなのでトリスバーで復刻角のロックとナポリタンなど頂いてみた。
ナポリタン・・・あまり食べたことなかったかもしれない・・・甘い。

時間は確実に重ねられているのね。


美しい5月のはじまりは少し切ない。
by quilitan | 2016-05-02 21:47 | 雑録 | Trackback | Comments(0)

猫と雑文ときどきお絵描き  


by quilitan
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31