人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「もの食う本」 :木村衣有子

他人の“読書感想文集”を
わざわざ777円も出して買ってしまったのは
新聞の新刊案内にあったこの本の紹介文の中に
好きな漫画のタイトルが入っていたからだ。

小説・随筆・漫画・・・等々、様々なジャンルの作品の中から
「食べ物」が描かれている部分を拾い出して書かれた
“読書感想文集”(これは著者自身が後書きでそう呼んでます)。

おおもとのテキストは食べ物にまつわることが書かれているものだが
読書感想文なので、この本の読者は美味しさは味わえない。
では、これで何を味わうべきかと考えると
この著者自身の考え方・感じ方というものだろう。
でも、その肝心の「本人」の姿に
残念ながら私は興味を持てなかった。
だから40編を超す作品が取り上げられているんだけど
この人の筆から食指を動かされるものがないんだなあ。
どうもこの人は、ひとつの事、モノを10の言葉を用いて表現するタイプのようで
さきの「ねにもつタイプ」と好対照だ。
こちらはあることを表すのに、別の言語を使うかのようなクセ球の持ち主なので
(そういえば岸本さんは翻訳家だ。なるほど表現方法に垣根がないわけだ)
好き嫌いはあろうけれど、興味は湧くというもの。
まあ一回り以上も年齢が違うので
感覚も違うのかもしれないけど・・・・・・・・・・なんてね。

そもそも、取り上げる作品の中に「写真のあるもの」や「漫画」といった
“文字だけ拾い上げても意味がない”表現のものがあるのも
私には引っ掛かるところ。
そこからキャプションやセリフだけを引用するのはちょっと乱暴でしょ。
そういうことも含めて、何となく全てを自分の書きたい方向に
強引に持っていくような感じがして
結局、私にはあまり美味しい本ではなかったな。

本屋で見かけたら、お目当ての所だけ読んで買わなかった・・・と思う。
by quilitan | 2012-02-10 21:06 | 読む | Trackback | Comments(0)

猫と雑文ときどきお絵描き  


by quilitan
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31